2009-09-05

アタカマ塩原におけるリチウムの製造方法

アカタマ塩原をグーグルマップでズームアップしてみると、巨大な濃縮地を監察できる。上がSQM社下がChemetall社である。現在、最大のリチウム生産国はチリ。チリのリチウムの特徴は生産・輸送コストが安く、また確認可採埋蔵量が多い点である。国内の2社が世界のリチウム生産をリードしている。97年に稼動したチリ内資企業SQMと84年から操業しているドイツのChematallのチリ現地法人Sociedad Chilena de Litioである。いずれもアタカマ塩湖で原料となる塩水をくみ上げ、プールで天日乾燥した上で、200キロ離れたアントファガスタ市巨大トレーラーで運び、そこで炭酸リチウムを生産している。

SQMはもともと肥料に使用される硝酸塩カリウムや、ヨードの世界最大メーカーである。リチウムは塩水から硝酸塩カリウムと一緒に産出される副産物だが、生産量は世界市場の40%以上を占め世界最大。アタカマ塩湖鉱区10ヵ所のうち9ヵ所の利権を確保し、残り1区がChemetallのものとなっている。
カナダの肥料会社PCSがSQM経営権の取得を狙っている。同社の意図は、世界最大の肥料(硝酸塩カリウム)メーカーの経営権確保にある。PCSは世界最大の肥料会社であり、肥料市場の寡占化を狙い、リチウム資源確保も考慮に入れている。しかし、SQMのチリ人実業家が拒否している。

また、中国の需要増に伴い、中国企業がチリのリチウム資源を確保するためにSQMへの出資や鉱区権取得の動きが注目される。中国市場ではリチウム買い付け価格が高騰しており、日本市場への供給が逼迫する恐れが十分にある。










出典:Chemetall

チリ首都サンティアゴ北方約1,700kmに位置するアタカマ塩原にChemetall社のプラントがある。アカタマから200km西のアントファガスタに精製プラントがある。



出典:Chemetall

9x4kmの広大なかん水池で1年間かけリチウム化合物を結晶化させる。

アタカマ塩湖の湖面を形成する岩塩は空隙率が24%であり、かん水はこの岩塩中の空隙を満たしている。かん水汲み上げ用坑井が20ヵ所に存在している。汲みあげたかん水のリチウム濃度は0.2%程度である。かん水を蒸発池に溜め、水分を蒸発させる。蒸発池の面積は1,000万平方メートルと巨大である。リチウム濃度が0.9%になるとリチウム濃縮池に移される。濃縮池では12~15ヶ月かけリチウムの濃度を6.0%にまであげる。効率よくかつ池全体で濃度差なくリチウムを濃縮するためには、蒸発池の形状、深さ、アンデス山脈からの風向き等を考慮する必要があり、同社では蒸発池の水位、電気伝導度及びかん水サンプル採取を毎日実施している。6~7月の冬期は低温の影響でかん水中のMg分が沈殿しないためプラントは操業を中止する。6%になるとマグネシウムとリチウムと塩素の混じった結晶が沈殿する。

濃縮かん水からホウ素を除去する際には有機抽出剤による溶媒抽出法が用いられるが、アタカマ塩原では標高が高いために気圧が低く、有機抽出剤の揮発が著しい。そのためこのプロセスを効率的に行うことができない。したがって濃縮されたかん水は、アタカマ塩湖西方230kmの標高の低いアントファガスタ近郊カルメンに所在するCemetall社の精製プラントまで巨大トレーラーでで運搬される。精製には1日を要し、最終製品はアントファガスタから外国へ輸出されている。



出典:独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構