2009-09-07

リチウムイオン電池の構造

リチウムは酸化還元電位が3.03Vと最も高い金属であるため電池の負極として用いると高い電圧が供給できる。また、水素、ヘリウムの次に原子の大きさが小さいため、容量が非常に大きくマンガン乾電池の約10倍確保できる。放電末期まで電圧降下が少ないのも特徴である。しかし二次電池の負極に金属リチウムを用いると,充電時にリチウム電極上にリチウムの針状結晶が生成して(デンドライト析出)セパレーターを突き破る危険性があるため,リチウムイオン二次電池の実用化は困難であった。
そこで、リチウムを化学結合させない、リチウムイオンだけを吸蔵できるホスト化合物を探す研究が進み,80 年代に黒鉛が可能であることが明らかになった。
同時期に,LiCoO2 が正極材料として有望であることも明らかになり1990 年にはリチウムイオン二次電池が商品化された。



現在市販されているリチウムイオン二次電池には,負極活物質として層状の黒鉛(C)が,また正極活物質としてはコバルト酸リチウム(LiCoO2),またはマンガンスピネル(LiMn2O4)が用いられている。コバルトが高価なため、性能は落ちるがマンガンが主流となる。



二酸化マンガンリチウム電池は、正極に二酸化マンガン、負極に金属リチウム、電解液には、有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものを用いている。化学反応式は次の通りである。

充電時は,マンガン酸リチウムから引き抜かれたリチウムイオンが黒鉛中に入る。つまり,リチウムイオン二次電池における充放電反応はリチウムが正極・負極間を移動するだけであり,鉛蓄電池やニッケルカドミウム電池などのように,電極の構造そのものが変化したり,新たに化合物が生成したりするのではない。

放電その逆でありには,負極物質である黒鉛からリチウムイオンが電解質中に引き抜かれ,電解質中を通って正極活物質であるマンガンスピネル(Mn2O4)の構造中に入る.ここで外部回路を通ってきた電子を得て,マンガン酸リチウム(LiMn2O4)を生成する.