2009-02-06

JR東海須田様の産業観光のお話しを拝聴する


観光産業は自動車産業に匹敵する規模を持ち、かつもっと多くの従業員が係わっている事から、この不況を乗り切る大事な、産業であることを確信しました。特に「観光」という言葉にの定義から説明されたので、一言で、大事な点が理解できるプレゼンテーションでした。
以下、定義の要約

「観光」の意味
世上「観光」という言葉は往々にして誤解があるので、まずこの「観光」の意味を明らかにすることからはじめたい。

中国の「易経」には次の言葉がある。「国の光を観るは、王の賓たるに利し」。それぞれの地域の「光」特性を観たり、観したりすることによって人々の交流をはかることは「王」の重要なつとめであると教えている。

ここで観るという字を使うのは単なる「見る」ではなく「心をこめて見る」ことを意味し、観(しめ)すという字のなかには「誇りをもって見せる」ことを意味する。

「観光」という言葉が日本で多く用いられるようになったのは幕末から明治にかけての頃で、その当時は「観光」という言葉が語源通り正確に使われていた。日本がオランダに発注した二隻の軍艦は「成臨丸」と「観光丸」と名付けられた。

この「観光丸」は外国への留学生を運ぶために使われた。まさに外国の「国の光」を観るためのものであった。岩倉具視を団長とする海外視察団の報告書は「観光」という標題であった。

しかし昭和に入って日本が臨戦体制に入ると共に当時の政府は「観光」を不急不要の施策として禁句とした。このため「観光」という言葉を使うことがはばかられるようになった。

戦後、制約はなくなるが、抑圧からの解放であったため「観光」のことばがひとり歩きし濫用された。「観光」とは異質の射倖性の強い行動や風俗営業にまで「観光」の語が使われたり、単なる「旅行」の代名詞ともなった。

現在でも「観光」は「ものづくり」より下にあると考えている人も多い。「観光」はすばらしい文化的行動であり、また生産的な行動でもあることが正しく理解されていないない。

「産業観光は結構だが観光というともうけ主義的な低次元の行動だと思われるので観光という言葉を使わずにほかの言葉を使うべきだ」と学識経験者の提言で、この言葉が使えなかった事もあった。

「観光」という言葉を正しく理解して正しく使いたい。「観光」が数十兆円もの生産額をもつ日本の基幹産業であることを認識して、「観光」という言葉と行動に「市民権」を得たい。これが観光関係者の願いである。

「産業観光」を進めるには、また産業界の協力を得るためにもこの「観光」の語源と意味を明らかにすることが不可欠である。「産業」と「観光」を結びつける「産業観光」こそ「観光」が文化創造活動にあることを実践することである。

これなくしては交流の世紀、21世紀を実現することはできないとさえ極言したい。

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