2009-09-21

鳩山首相温室効果ガス25%削減とカリフォルニア州25%削減法

カリフォルニアは自ら行動を起こす。州の人口は全米50州で最も多い約3700万人。自らの力で連邦とは独自の法律を作り、リーダーシップをとり自国の州ばかりなく、カナダやオーストラリアの国には、直接、日本には連邦を通じ間接的に影響力を及ぼす。

州都サクラメントに設置されたCARB(カリフォルニア州大気保全局)は1960年代、米国で最初に自動車排ガス規制を実施した。CARBができたのは67年。連邦のEPA(環境保護局)設立は70年である。環境保護では、はカリフォルニアがリーダーシップを握り、連邦が追随している。

実際、州の排ガス規制は70年、世界で最も厳しい連邦規制(マスキー法)になった。この経緯から、米国ではいまもカリフォルニアだけに独自の排ガス規制を定めることが認められている。しかし、自動車メーカー、石油業界などの提訴で、時には却下され、時にはEPAが優先し、さらにまたCARBが新たな立法をするという繰り返しが行われる。

技術開発が必要であるので、CARB、EPAの動きはどのようになるのか正しく判断しないと自動車会社の存続に関わる。私は、1970年代、CARBの排気ガス規制がどうなるか、EPAの排気ガス規制がどうなるか、日本の本社に報告するため、ロスアンゼル市に駐在し情報収集した。単なる環境保護というムードからで無く、日本の自動車会社を存続の危機から守り発展させるため、利害関係者の情報を集め、判断しどうしたら良いのか報告した。

GMの破綻は、企業年金のキャッシュフローを稼ぐため、電気自動車CARB規制をブッシュと組んで廃案にしたことにあると私は見ている。明らかに対応を間違った

今、民主政権で問題になっている25%温室効果ガス削減のルーツもカリフォルニアにある。鳩山首相は日本が世界をリードとかいっているが、排気ガス規制については、日本はカリフォルニアの追随をしているだけである。日米の自動車メーカーは、カリフォルニア規制には、懸命の技術開発をし、時には提訴して現実の回答を示し、市場と排気ガス規制を両立させてきた。

環境保護では、ターミネーターシュワルツネッカー知事に対抗するにはよっぽど腕力と知力をつけてから戦わなければならない。一方欧州や、中国の巨人も虎視眈々と市場と自国の有利を狙っている。

カリフォルニア2006年9月に地球温暖化対策法では、2020年に温室効果ガス排出量を現状から25%、50年までにさらに80%減らすというものである。

州人口は急増しているので人口増による電力や燃料消費が増えることを考えると、排出量の25%削減は、実質的には50%減を達成しなければならない。

問題はその対策である。41%という最大の排出源である自動車につぎ22%を発電所が占める。
カリフォルニアは電気が不足している。時には電力不足から大停電を起こした。他州から電気の50%を分けてもらっていてもである。

そのために、再生可能エネルギーの利用を増やし、石炭火力からの輸入ゼロを目指している。再生可能エネルギーである風力発電のルーツは、80年代のカリフォルニアであったのである。さらに、全米で唯一、太陽光発電の大規模導入を進めている。


広大なモハビ砂漠に設置された太陽光発電所。太陽光をミラーで反射させ、循環しているオイルを熱し、蒸気タービンに熱交換させて、48.3メガワットの出力を誇る。近隣には出力150メガワットの設備もある。これで一般家庭6万軒の電力をまかなえる。

03年からは、電力販売に占める再生可能エネルギーの割合を毎年1%以上増やすよう電力業界に義務づけ、17年には20%を要望している。

今、日本で景観を壊し、回っていない風力発電や、市民の住んでいるところでは騒音を発する風力発電機が
各自治体や、工場のいたるところで建設されているが、カリフォルニアのように切羽詰った問題からの切実な現実的な技術でなく、日本では補助金がでるとか儲かるからとかエコブームだからとかいう観点では、解決しない。住民に負担をかけ失敗に終わる。

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