日本からの10兆円の現金がIMFの金庫に入った。IMFからパキスタンに7400億円の緊急融資が出ることが決まった。このパキスタンへの7400億円は日本の10兆円の一部である。さらに、IMFはアイスランド向け5700億円を融資した。
外国為替資金特別会計から麻生首相と財務省は、外国為替特会の余剰金が一般会計の社会保障費に振り向けられる前に、IMFに10 兆円を渡した。この財政危機の中で、深刻な不況と国民の生活苦の中で、10兆円という金額は途方もなく大きい。
G20サミットでは規制が具体的に決まらなかった。ヘッジファンドに対する規制こそが重要なのに。97年にアジア通貨危機が起きたとき、サマーズに対して、ヘッジファンドを規制しろ、規制できないならせめて透明化しろと迫ったが、サマーズからは拒否の返事が返ってきたという。
一般の投資信託は空売りが出来ないため、下げ相場では買持ちしている資産の価値が低下し、運用利回りがマイナスとなる場合が多い。空売りを積極的に利用できるヘッジファンドの場合は、上げ相場でも下げ相場でも利益を上げる機会があり下げ相場を得意とするヘッジファンドもある。
リスクヘッジのために開発された各種の金融派生商品(デリバティブ)を駆使して投機的に高い運用利益を上げようとする投資手法をとる。デリバティブは原資産の将来の値動きに対するリスクヘッジ手段として開発された。一般的なデリバティブ取引では満期日における原資産の価格と、デリバティブ契約上の取り決め価格との差額分だけを決済する。このため原資産取引でいう”元本” 部分を準備する必要はなく、低額な証拠金(通常は原資産取引元本の3%~10%程度)を準備するだけで、原資産取引と同規模の取引が可能となっている。このため、実際の投下資金に対しての運用利回りは原資産取引に比べると10倍~30倍程度も高くなる(レバレッジ)。この様なケースでは、利益だけでなく損失も同様に10~30倍となり、ハイリスク・ハイリターンな取引となる。
一見華々しい物に見えるが、その裏では熾烈な生き残りをかけた競争があり、米国のサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機の影響により、多くのヘッジファンドが資金難に陥っている。また、金融危機を招いた原因の一端もまたヘッジファンドであったことから、2009年3月に予定されているG20サミットではヘッジファンドの取引に厳しい制限が論議されるが、結果は。。。
GMの経営問題がある。金融危機は、実体経済に移り、次の危機は実体経済側のクラッシュを引き金に起こるのではないか。金融危機から恐慌への移行である。
だから、ヘッジファンドの規制の問題も、現在は課題ではないのだ。今は規制をしなくても、金融資本は収縮に次ぐ収縮の段階で、問題解決には繋がらない。
当面GMACに94億ドル融資したので、1月までの事業存続は可能であろう。