2008-12-10
ヤマハ発動機会長の戸上様のお話をお聞きしました。
ヤマハの社風は「発散と自立」だという。アメリカのビジネスモデルは「選択と集中」だから、その対局にある考えである。「選択と集中」、市場シェアを奪い、収益性を高めるため、GEのジャックウエルチ以下、欧米式の正攻法とされて来た。私のすごしたS社も「選択と集中」をめざしている。先日戸上会長と一緒にお話しを聞いた韓国のサムソンも「選択と集中」を行っている会社である。
ヤマハの社風が「発散と自立」であるとすると、何故私の周りに、ヤマハ、ヤマハ発動機出身の社長が多いか、中小企業診断士などの資格保持者、コンサルタントが多いか理解できる。
IM事業は、ロボット、チップマウンターが主で収益性はチップマウンターの方が高い。ロボットは始め自社の生産ラインに使うロボットを開発した。自動車のラインは会社毎に全部違うので、いつでも一品製品、試作品を作ることになり、一服する時がない。戸上会長はスズキの津田社長が「踊り場っていいねえ。上に行くとき一服できる」の言を例に出し、建築の踊り場の必要性を言っていた。一品生産ばかりで、横展開が出来ていない我社も貧乏暇なしである。
通常試作品ビジネスは、見積もり違い、手離れ悪で採算割れになる。1億円のラインを受け、部下は儲かるといっていたが、腹の中で3,000万円の超過まで認めようと思っていたところ、実際には1億円の持ち出しになってしまったことがある。しかし、戸上会長自身は、原価見積もりが出来た。なぜならば、父親の会社が試作品会社で、自分で旋盤やフライスを使って部品を作っていたので、部品一個一個の値段が分かったから、購買に指し値で買うよう注文を出していた。
見積価格は最大で原価を最小にし利益率を35%を守る。フィリップス社のOEMをチップマウンターで引き受け、BOMが日本の会社よりずっと進んでいることを学んだ。
PDCAが経営には重要
Pは文系社長だとPlanのみであとは勢いが多いのであるが、戸上会長はPlan(計画)、Design(設計)、Check(チェック)がはいったプランでやっている。これは大事な考えである。チェックは、設計の間違いを正すだけでなく、私は、最大これだけ、最低だとこれだけという公差を含んでいると考えたい。
長期計画(10年計画)は、
1.売り上げと利益率の目標
2.手段
3.組織
4.運営の方法
5.投資(設備・人)
を具現化している。
IMは「存在感と収益力」でリーディングカンパニーを目指すという。これは我々中小企業が目指している会社の姿で、IMは良いお手本である。戸上会長は365日にうち9日しか休まなかったシングルホリディ経営者であった。技術会社の働き方、試作品から量産品への移行、見積方法、利益率、「発散と自立」、長期計画本当に勉強になりました。戸上会長とは構造研究会でご一緒させて頂いています。本当にありがとうございました。
カイゼン・取り入れるべき点
戸上会長は技術者らしく、多量のパワーポイントを用意してきた。そのパワーポイントをロードするのに、会場におかれたパソコンの性能が低く大変時間がかかり、会長を心配させた。会長の言うとおり「自分のパソコンを持参すべき」である。
私は、持参のパソコンでも、プロジェクターとの相性が悪く、パソコンを諦めたことがある。プロジェクターとの相性はいつもリスクとしてあることを忘れてはならない。
途中動画に変えるところで、また、パソコンがフリーズした。会長は、肝を冷やしたことであろう。しかし、動画は、プレゼン力がある、今後は積極的に取り入れるようにしたい。会長はゼロックスからパソコンを止めれば生産性が10倍上がるからそうしなさいと言われたという。自分もそう思っている。
1.パソコン使う時間を短くする
パソコンを使わなければ、生産性が10倍あがると言うお話は、私には耳の痛い言葉である。常々私がその愚をおかしているのである。たとえばこの文章を今キーボードから入力しているのであるが、打ち間違い、変換間違いがはなはだしい。音声で、適当に間違いを正してくれる入力装置でないとイライラする。
2.プレゼンの時は自分のパソコンを持ち込む。
3.パワーポイント枚数を50枚以下に制限する
4.動画を入れる
5.PDCAのPはCheckまで含んで設計する
6.原価を見極める
7.最大公約数価格の見積もりを出す。
8.試作品は踊り場がないので、パッケージ(量産品)で考える時間を持つ。
9.休みはシングル、すなわち1年のうち9日以下が開発では必要。
10.10年長期計画の立案
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