海水リチウムを抽出するプラントが日本を中心に稼動しており、現状よりさらに低コストで採掘できるようになれば、リチウムの資源問題が解決する可能性がある。産総研 四国センターや北九州市立大学で研究が進められている。
海水中には低濃度であるが、リチウムが含まれている。0.1ppm程度であるが世界全体では2,300億トンになる。回収技術が確立されれば、リチウムの輸出も可能になる。ひとつの方法は、スピネル結晶構造を持つマンガン系吸着剤を用いることである。スピネル型リチウムマンガン酸化物LiMn2O4 は,可逆的にリチウムイオンを出し入れすることができる。リチウムマンガン酸化物のリチウムイオンを、水素イオンに交換できるイオン形状記憶化合物は、リチウムの大きさを認識して吸着を許す。海水中にある高濃度のイオンナトリウムなどは原子の大きさが大きいため通さない。吸着したリチウムを容易に酸で分離させることができる。空孔は、リチウムイオンの大きさを覚えており、再びリチウムイオンを吸着する。
出典:北九州市立大学
スピネル結晶構造を持つマンガン系吸着剤は、鋳造に使われる鋳型の原理を応用して作られる。まず、担体となるマンガン酸化物とリチウムを混ぜ、加熱・反応させて、リチウムと金属の複合酸化物を作る。次に酸で処理することによってリチウムを溶かし出し、リチウムにピッタリのサイズの細孔を作る。これがリチウム吸着剤となる。
四国センターでは、海流や発電所の温排水などの流れをうまく利用した低水圧型吸着装置の研究を実施している。
一方、お隣の韓国でも海水から羅のリチウム回収が進められている。
【ソウル6日聯合ニュース】国土海洋部は韓国地質資源研究院は6日、海水に微量(1リットル当たり0.17ミリグラム)に含まれているリチウムだけを選別し、抽出する高性能吸着剤の製造技術を開発したと明らかにした。
この吸着剤は特に、吸着用粉末1グラム当たり45ミリグラムのリチウムを得ることができ繰り返し使用可能との点で世界最高レベルの技術だと、国土海洋部側は説明している。政府は同技術を基に2014年まで年間10トンのリチウムを回収・生産可能なプラント施設を建設し、本格的に使用を進める計画だ。
リチウムは携帯電話、ノートパソコン、ビデオカメラなどの電子機器、ハイブリッドカーや電気自動車の燃料として使われるだけでなく、今後は次世代核融合発電の燃料としても活用可能なため、国レベルで戦略的に管理している。韓国は昨年だけで11万トン、6億ドル(約589億円)分のリチウム電池・原料など関連製品や化合物を輸入した。
政府は今後、原子力・火力発電所で排出される温廃水を対象にリチウム抽出技術を適用する場合、毎年2万トンの炭酸リチウムを生産でき、約2億ドルの輸入代替効果が得られると期待している。
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